泉屋博古館東京で2023年1月14日から2月26日まで開催されている「不変/普遍の造形―住友コレクション中国青銅器名品選―」にて、サビアでは青銅器の3Dデータを扱った映像作品を2本制作しました。展示では紹介し切れない造形や文様の魅力、そして見た目からは思いもよらない道具としての使い方まで、非常に興味深い内容になっています。ホログラム展示と合わせて会場で上映され、好評を博しました。
3Dを交えた映像制作までの流れ
映像制作にあたっては、まず担当の学芸員の方から入念なヒアリングを実施。来館客に何を見せたいか、どう見せれば分かりやすいかを協議し、それを持ち帰ってサビアで絵コンテを作成します。そうして確定した各シーンの内容をもとに、3Dデータでやるべき場面と実写でやるべき場面を切り分け、登場する青銅器の撮影プランを検討していきます。
撮影は京都の泉屋博古館にて行いました。東京への移動を間近に控えた青銅器の中から、選りすぐりの10点近くをXRスキャンにて3D撮影。高精細デジタルカメラによりフォトグラメトリで生成されたサビアの精密な3Dモデリングデータは、映像やウェブなど各種メディアでの利活用の他、3Dプリンタでのグッズ化も実現します。
本展覧会では、会場のモニタで上映される作品のほか、デジタルサイネージで表示するショート版、さらにホログラム展示用のデータも作成しました。
映像ならではの表現が青銅器に対する理解を深める
映像は造形に着目した「文様・モチーフ編」と、道具としての側面に着目した「使い方・機能編」の2種があります。
「文様・モチーフ編」では虎卣(こゆう)や鴟鴞尊(しきょうそん)といった人気のある青銅器を取り上げ、その表面の造形や刻まれた文様に迫ります。映像に集中してもらうべく文字は極力排し、3Dならではのダイナミックな動きで各部を見せていきます。
また「使い方・機能編」では青銅器の道具としての側面を紹介。見た目からは想像できない、あるいは現代の感覚では思いもよらない使い方を、3DCGと実写を交えて実演しています。実際にどう使われていたかは、展示作品を見たり、また文章を読んだりしただけでは今ひとつイメージが沸きませんが、映像として形になると理解がしやすいものです。
ぜひ会場にて、青銅器の持つ様々な表情に驚いていただきたいと思います。
※現在は会期終了。動画はこちらでご覧いただけます。