2018年2月1日~27日、独立行政法人国立公文書館にて、特定歴史公文書などのスキャンを行いました。本プロジェクトのスキャン対象となるのは「内閣文書」と呼ばれる古文書の内の「日本文国図」です。
日本文国図とは江戸時代に作成された日本各地の地図であり、幕府の命により全国規模で慶長・正保・元禄・天保の都合4回作成されました。国立公文書館には「天保国絵図」の全国分83鋪(しき)、縮小図等12鋪が保存されています。「郷帳」や「城絵図」などと併せて数年掛かりで作られ、回を経るごとに様式が固まっていき、最後となった天保期のものは明治維新後も実務に活用されたほどの精度があります。
今回は傷みが激しいものなどを除く59点が対象となり、350dpiの解像度でスキャンを行いました。
独立行政法人国立公文書館とは
歴史資料として重要な公文書等を、国の行政機関などから移管を受けて保存管理している施設です。1971(昭和4)年、総理府の附属機関として東京都千代田区北の丸公園に開館。国立公文書館法に基づき2001(平成13)年に独立行政法人化されました。
142万冊ある資料の内、48万冊は江戸時代から引き継がれてきた「内閣文庫」と呼ばれる古書・古文書です。そのほか88万冊については明治以降に各省庁から移管してきたものですが、現在も毎年2~3万冊の蔵書が増えており、その適切な保存実務と一般利用を事業の目的としています。
大量の大判資料を効率的にスキャン
本プロジェクトのスキャン対象となる国絵図は、大きなもので一辺が4m以上ある大判の資料です。なかでも「天保国絵図」は用紙が良質なうえ、何重にも裏打ちがされており、相応の厚みがあります。そのため地図を広げる際には折り目の膨らみなどにも注意が必要で、皺をのばすためにかなりの時間を要しました。被写体が大型であるため、スキャナのレールは長さ約10m、幅5mを用意。加えて量が多く、効率的な作業が求められます。
スキャンの順番は被写体の大きさや形状で臨機応変に決めることとなりました。皺のばしや重しに特殊な道具を用いたり、スキャンと同時進行で次の被写体を用意するなど工夫を重ねた結果、職員様のご協力もあって1か月に渡るプロジェクトは無事に完遂となりました。