仁和寺観音堂デジタル化プロジェクト

2011年7月22日~9月16日、仁和寺観音堂の保存修復に関わるデジタル化を京都大学井手研究室が実施しました。観音堂は江戸初期の創建から屋根瓦の敷きかえ工事をのぞいて一度も建物全体に修復の手が加えられておらず、観音堂内の極彩色で描かれた障壁画や仏像は経年劣化はあるものの、通常非公開であるため色彩の保存状態が極めて良いものとなっています。デジタル化された画像は使用された顔料の推定や、当時の技法などを研究する上でも貴重な資料となることが期待されています。

仁和寺観音堂について

仁和寺観音堂デジタル化プロジェクト

観音堂は、応仁の乱で焼失後、再建が始まった江戸初期の1641(寛永18)年~1644(正保元)年に建造されました。本瓦葺きの入り母屋造りで、和洋を中心とした建築様式ながら、各所に禅宗様式が加味された折衷様となっています。幅、奥行きともに15mの正方形で、外周には回廊が配置されており、堂内には北側に須弥壇のある内陣、南側に畳の間の外陣からなり、内陣は天井高が約6mの二重折上げ格天井となっています(昭和48年に重要文化財指定)。
須弥壇にはあらゆる困難から人々を救うとされる千手千眼観自在菩薩を本尊とし、脇侍として不動明王・降三世明王が両脇を固め、従属として二十八部衆が祀られています。

東京国立博物館での空間再現へ

仁和寺観音堂デジタル化プロジェクト

2018年1月〜3月に、東京国立博物館では「仁和寺と御室派のみほとけ — 天平と真言密教の名宝 — 」と題する展覧会が開催されました。本展覧会の目玉のひとつが、観音堂の再現展示です。デジタル化による高精細画像を使用して、京都から遠く離れた会場に壁画や柱を再現し、須弥壇には実際に安置されている33体の仏像を展示しています。観音堂内部は幅15m、奥行6mの空間が再現され、普段非公開の観音堂を体感できる特別な展示となりました。

仁和寺観音堂デジタル化プロジェクト